カカオ農園について


 これまでニカラグアとガーナのカカオ農園の視察を行いました。カカオの木の栽培から収穫にいたるまでの作業を細かく農家や輸出業者から聞くことができました。

●2016年 ニカラグア視察 INGMAN社がカカオの実から種を取り出すタイミングで農家に出向き、発酵箱に豆を納めてINGMAN社の敷地内で発酵から乾燥、輸出までを管理しています。カカオの木の栽培方法、接ぎ木の方法、剪定、農薬の使い方などもINGMAN社の指導の下で行われています。

●2019年 ガーナ視察 各農家がバナナの葉の中にカカオ豆を入れて発酵させて、木のテーブルの上で乾燥させたものを60KG入りの麻袋につめて政府に納めていました。農薬などは全て政府の管理下で行われています。


ニカラグアの写真


ガーナ

当店で使うガーナ産カカオ豆は、全て児童労働のないカカオ農園で収穫されたものだけです。

ガーナから世界へ
ガーナではカカオ豆を全て政府が買い上げて外国へ輸出しています。外国の資本が入って、特定の農家だけを支援して外国資本の企業に利することを避けるためです。これまでカカオサロンエイフクが児童労働のないカカオ農園のものだけ購入できていたのは、カカオの専門商社である立花商店が長い年月をかけて政府と交渉して、立花商店だけが潤うわけでもなく、支援した農家だけが利するということだけでもなく、子供たちが多く教育機会を与えられることが国家的な利益につながることを粘り強く説いてきた賜です。現に、今月嬉しいニュースが舞い込んで来ました。現地のNGO法人の支援により労働から解放された児童が医学の道に進んでいるとのことでした。
そして、今回紹介するのは、カカオ農園が自主的にカカオニブの輸出を始めたお話です。カカオニブは、カカオ豆をローストした後、砕いて皮をとりのぞいたものです。単純なカカオ豆に加工をほどこしているので、輸出量が増えればその加工のための雇用が増えて、農家の収入も増えて、国の経済が潤うという期待が持てます。そのため、その活動には政府も支援をするとのことです。農家が直接輸出するとだけ書いてしまうと簡単に聞こえてしまいますので説明をいたします。ここにいたるまでにはこの農園の長き渡る努力があるのです。そもそもガーナでのカカオ栽培は、植民地時代に南米からもたらされ、支配者から労働を搾取されてきたため、カカオの使い道を知らないままに数百年にわたり収穫したカカオ豆を発酵させ、乾燥させ支配者に納めるだけでした。イギリスの支配から解放された後も、主要な産業は金鉱を掘るかカカオを栽培するかで、売り先は、イギリスが売っていた先にそのまま納めていたわけです。そうなると、大量の売り物に対して大量に買い付ける側は相変わらず労働を搾取するレベルの買値しか提示しないのです。そしてその状態から抜け出せないまま農園はカカオの栽培を続けてきたのです。支配者がいなくなったあとの農園経営者はカカオ栽培のおかげで、農園を持たない地域の住民よりは良い生活ぶりです。そして農園を持たない地域の人は金鉱か農園に出稼ぎに行くのです。カカオサロンエイフクは2020年3月からDarling Wings FarmのKumi さんからカカオ豆とニブの購入をスタートしました。Kumiさんは、実はもう20年日本に在住しているガーナ出身者です。農園の一人息子なのに!なぜ!とまずは思いました。話を聞いていて見えてきたことは、農園主になるべきなのに、その作業を自分ですることができないのです。発酵の作業時に皮膚にアレルギーが発症するのです。このことが幼い頃からわかっていたのでそのため、自分が農園に残らずに農園を存続させる方法を模索してきた半生なのだろうと察します。自らチョコレートを作る方法を学び、さらに出店のための製造方法を知るためにカカオサロンエイフクとご縁をいただきました。ご自身がチョコレートを製造して販売するだけでもカカオ農園にとってはものすごいチャレンジです。そしてカカオニブの消費量が増えれば農園の収入が増え、働く人も、カカオの使い道に思いを馳せながら作業に従事することができます。この試みが成功すると、その他のカカオ農園にも波及し、生豆の大量買い付けの呪縛から逃れることができるのではないかと期待します

ガーナの写真